ブリスター包装時に点字を付ける!

ある時、ふと、こんな風なことを思ったのです。

目の見えない人は、どうやってモノを認識して、買い物をするのだろう??
触って確かめるってと言っても、パッケージの上からではわからないのではないか??
たまたま、親が盲学校で教師をされているという知人がいたので、
こんなことを聞いてみたのです。

目の見えない人って、商品の中身の特定は、どうやってるの? 
そもそも、買い物はどうやってるの? 知人に頼むの? 
それとも、店に行って店員に頼んでとってもらうの??

店員に伝えて渡してもらったり、知人に頼んで買ってきてもらったり、
それはわかるんだけど、でも・・・
手渡されたモノがホントに自分が頼んだやつかどうかって、どうやってわかるの? 

全面的にお願いした人を信用するしかないのかな? 
こういうことはないとは思うんだけど・・・ イケズな(意地悪な)人なら、
わざと別なものを渡すことだってあり得るよね?
そうじゃなくても、間違って渡してしまうことだってあるだろうし・・・。

例えば、歯ブラシなら『ふつう』が欲しいって頼んだとしても、
それが、『かため』 になのかもしれない。
健常者は、パッケージの表示ををみて理解することができる。

でも、見えない人はそれができないから、口に入れるまでわからないのかな??
すると・・・
出てきた答えは、
確かめる術がないので相手を信用するしかない・・・とのことでした。



なんだか、悲しい現実を知った気が・・・。

『目の見えない人が、どうやって買い物をするか??』

今まで、あまり・・・というより、全く気にも留めなかったことなのだけど、
このきっかけで調べてみると、なんだか、悲しい現実を知った気がしました。

確かに、買い物にいって店に並んでるモノを見渡してみれば、
ほぼほぼ、『目の見える人』目線の構成になっていますよね。

お酒や洗剤などごく一部には 対応してるものもあるけれど、ほんと、ごく一部。
パーセンテージにして、1%もないんじゃないのかなぁ・・・。


で、思ったんです。

包装に携わっている自分にできることはなんだろう?
自分たちが創ってる機械でできることはなんだろう??
って。


ボクらが携わっているのは、ブリスター包装。


そもそも、ブリスター包装って、中味が見えるってことが最大の利点。
でも、これって、目の見えない人にとっては、関係のないこと・・・。

むしろ、透明の容器が妨げになって、中味を触ることができないってことが
ネックになってしまってる。

これって、なんだか矛盾してるよ。

目の見えない人にもやさしくなれるように改善する方法はないものだろうか?


・・・と考えた時に、閃いたんです。


点字をつければ、もっとわかりやすくなる・・・はずだ! 

と。



ブリスター包装に『点字』というバリアフリーを。

実は・・・・
母親が点訳(点字に翻訳すること)のボランティアをやっていたことがあり、
点刻器が身近にありました。 



これを使って、試しに台紙に点字を打ってみました。

点刻器では、窪みのあるプレートとマス目のプレートの間に紙を挟んで、
点字記号のパターンにピンをたてて点字の凸面を得て、点字を打っていきます。

・・・ なかなか、ええ感じ!

ブリスター包装で使われる台紙は、そこその厚みがあるのできれいな点字が打てました。

じゃぁ、この機構をどうやって組み込めばいいか・・・・?


下側に窪みのある型と、上側にピン、下側に・・・??!


その答えは意外と簡単に見つかりました。

なんで簡単に見つかったか? っていうと、
うちで創ってるブリスター包装機の機械的な構造が、そもそも、そういう構造をしてる
ということだったんです!


どういうことか? というと・・・

うちのブリスター包装機の溶着方式は、下熱方式・・・つまり、ブリスター側から熱をかけて
ブリスターと台紙を上下で挟み込むような方式を採用しています。
また、この方式では、ブリスターが下型の縁にあたって溶けてしまう可能性があるため、
繰り返しの停止精度や比較的高い位置精度が求められるのです。

それゆえ、比較的精度の高い機械構造で設計を行っています。




・・・ すなわち!
窪み(下型)とピン(上型)をそのまま組み込めるのではないか? 
ということにヒラメキを感じたんです。

ってことは、つまり、包装過程で点字を施すことができるんじゃないのか! と。


もしうちが、世間的に知名度の高いブリスターの方式 『平版上熱方式』 での機械を
創っていたとしたなら、たぶん、こういう発想は思いつかなかったと思います。

なんでか? っていうと、
平版上熱方式の機械的な構造では、それほどの停止精度は要求されないからです。




今ある資材に点字を施す!

ブリスター包装に点字をつけるということは、
商品企画等でブリスター包装に携わられている方ならたぶん、容易に発想できる
ことなのかもしれません。

ただ、そこで問題になってくるのはコストだと思います。
企画を考えたとしても、コストという障壁が差し掛かり、前へ進まないことは
容易に想像できます。

なぜか?

点字を施した資材を得るということは、資材自体の単価が上がってしまうからです。

台紙にせよ、ブリスター容器にせよ、点字という製作工程が増えるのであれば
単価があがるのは必然ですよね。

それに・・・ 単価の問題に加えて、もうひとつ大きな問題があります。

それは、管理の問題です。 
管理の仕方によっては、施された点字が潰れてしまう可能性がありますし、
また、品種が多い場合には、それなりの管理スペースも必要になってきます。

これらは、すべてコストです


だからなのでしょうか・・・。
市場では、ボクが知る限り、
点字が施してあるブリスターパッケージを見たことがありません。


これは、
経営する側からすれば、そういったパッケージが有意義なのは理解できるのだけど、
コストアップにつながることは極力避けたいところなので、OKを出せない・・・。


という構図が存在しているからだと推測します。


でも・・・もしも、
ブリスターの包装過程で点字をつけることができるとするならどうでしょうか?

現行の資材を変えることなく・・・つまり、仕入れ単価を変えることなく、
自社の中で新たな『付加価値』をつけることができるとするなら、どうでしょう?



その付加価値は、
目の見えない人にとって、素晴らしい価値であることは間違いありません。
それは、同時に『社会貢献』という企業イメージに対する付加価値でもあります。

またこれは、『パッケージのバリアフリー化ともいえる、新しい価値の創造でもあります。


ちなみに、↓ これが点字サンプルです。『はもの(刃物)』と書いています。
ブリスター(透明容器)と、台紙の両方に点字を打ってます。
(実は、点字の構成的にちょっとミスがあるんですけど・・・ ごめんなさい。(汗) )


こっちが歯ブラシへの点字サンプルです。『柔らかめ(やわらかめ)』と書いています。


※ 点字は、台紙面でも、ブリスター容器面でも可能です。
  ただし、ブリスター容器の場合は、形状によります。
(本技術は特許出願中です。)




本当のバリアフリーを目指したい。

平成28年4月より、『障害者差別解消法』という法律が施行されましたね。

障害のある人もない人も共によりよく生きる社会をつくることを目指して制定された法律です。

お恥ずかしい話、ボクは最近になって初めてこの法律を知りました。


正直言って、ボクはその立場にないので偉そうなことは言えないのだけど、
見えない状態で判断するって、すごく難しいですよね。
特に、後天的であれば、なおさら、感情的な歯がゆさも手伝うでしょうから・・・。

あるテレビ番組でのコトなのですが、その方は、事故で光を失ったと言われてました。
それまで、当たり前に見ていた風景が、その日を境に全く見えなくなってしまったと・・。

もしかすると自分達だってそういう状態になる可能性はゼロではないわけです。

それを想えば、ほんの些細なことでも、自分たちが何かしらの行動を起こしていけば、
彼らのバックアップにつながっていくのではないか? と思うのです。

よりよく、より優しい社会になっていくために、モノづくりに携わってる者の視点で、
アプローチしていきたいと思ってます。




メディアに取り上げられました!

お陰様で、点字への取り組みが各社メディアに取り上げられました。
詳しくは、『プレスリリース』のページに記載しましたので
参照して頂ければありがたいです。

また、メディアにとりあげて頂いたことでボランティア団体様から
表彰を受けました。

なんでも、
実際の活動がメディアに載ったり、形として在るということが
とても珍しいらしくて、そこを評価し表彰したいとのことでしたので、
ありがたく頂戴しました。








考え方の枠にとらわれないで!

商品に点字を入れれば? ・・・ってお話をさせてもらうと、
概ね、どこのクライエント様も、


うちの商品は、視覚障がいの方には関係ないから。 とか、
彼らはうちの商品を使わないので。 とか・・
そういったことを言われる場合がほとんどです。

実は、ボクもそうでした。

点字を入れる仕組みをつくってみたものの、
本当に有効なのかどうか? そこが疑問だったんです。

でも、実際に目の見えない方と話をする機会があって、
いろいろとお聞きしてると、自分の考え方が間違ってることに
気が付きました。

お話させて頂いたのは、先天的・・・つまり、生まれながらにして
光を失ってしまった方だったのですが、彼は、ある意味、
ボクらよりモノが 見え、理解している ように感じました。

もうひとつ、興味深いことを言われていました。

それは、音声で理解する ということ。


テクノロジーが進んで、今やスマホが身近にある。
なので、ある程度のことはスマホを通して理解できる・・・と。

つまり、スマホの音読機能を使って、モノを認識することが
できると言われていました。


そうなんです!
スマホのようなテクノロジーをうまく組み合わせれば、
障害があるなしに関わらず、皆にとってより豊かな生活を与える
ことができるのだと感じました。


彼らは使わない・・・って、誰が決めた?


ってことです。 
今までの思考パターン、思考の枠を取っ払うことができるなら、
もっと幅広い視野に立てると思っています。

そして、それは、『超』高齢化社会 を迎えていく世界にとっても
より有意義なことになっていくと考えます。


若いからいらないとか、元気だからいらないとか、
そういう次元の話ではありません。


いつかやってくる未来のためにも、
で、むろん、目の前にいる光を失った人のためにも、
有効な準備を今からしていきませんか?





ビビッときたら、お気軽にお問合せ下さい!



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