改善のキーポイント。
状況を俯瞰して捉えてみれば、『捺印作業』そのものに問題があるということがうかがえます。
しかし、製品(袋)に対して表記を行うという工程はとても重要であり、失くすことはできないので、そう考えると『判を使った作業』ということが問題になるというわけです。
〝捺印〟の潜在的な問題。
実は、ゴム判による捺印には潜在的な問題が隠れています。
それは、【トレーサビリティ】に関することです。
トレーサビリティとは履歴管理のことであり、その製品がいつ、どこで作られた、どこに向けて出荷されたか? の履歴が確認できることを指しています。
トレーサビリティの重要性が問われ始めたのはここ数年のことです。 が、(悪質な)クレーマーや生産工程や出荷以降におけるトラブル監視などへの対策としてとりいれられている企業も増えてきているようです。
生産に対する履歴が参照できる体制にしておくことで、製品について何か問題が起こった場合にすぐに対応ができるようになります。 なので、今や、トレーサビリティができることが企業側の責務でもあり、企業としてのコンプライアンスでもあるというような風潮になってきているのは事実です。
ここで、注意したいのは、ゴム判による捺印ではトレーサビリティが期待しにくいという点です。
捺印作業時に台帳などへ記入するなどすれば履歴管理もできなくもないかもしれません。 でも、実作業を考える上ではスタッフへの作業負荷が大きくなってしまうきらいがあります。 それに加えて重要になるのが、台帳に記されたデータの信頼性です。
仮に、そのような方法で履歴が管理できたとしても、台帳の記載時のミスや、そもそものゴム判の入れ替え作業のところでのミスを考えた場合、データに対する信頼性が担保できない状況が発生してしまうということです。
台帳に記入したのが〝A〟と言う情報であるにもかかわらず、実際にゴム判として用いたのが〝B〟だったというような状況が起きたのであれば、台帳の内容は信用できないということなります。