「絞り切れているか、不安なんです」──味付け海苔のスポンジローラ洗浄を機械化して、現場の”なんとなく”をなくした話。

冬の朝、工場のシンクに向かう。 冷たい水の中で、両手を使ってスポンジを絞る。 力を込めないと絞り切れない。でも、絞り切れているかどうか、実はよくわからない…。

「これ、きちんとできてるのかな」といううっすらとした不安を抱えながら、毎日その作業が続いていく。 ──これは、ある海苔メーカーの担当者さんがボクに話してくれた、現場のリアルな話です。


こんにちは。

生産現場での「手間」と「モヤモヤ」を減らす人、けたろーです。

大阪・柏原(かしわら)市で、機械づくりと社長や現場の話を聴くことの両方で、生産現場をちょっとラクな環境にしていくサポートをしてます。 でも、本当につくっていきたいのは、余白(ゆとり)のある現場… だったりします。

さて…

「ちゃんとできているか、不安なんです」

味付け海苔の製造では、調味液を染み込ませたスポンジローラに海苔をくぐらせて、表面に均一に味をのせていきます。 このスポンジ、食品に直接触れるものだから定期的な洗浄は欠かせないんです。

洗浄もさることながら、ホントの問題は、洗った後の「絞り作業」でした。

スポンジといえば、台所での皿洗いで使うような柔らかいスポンジをイメージされるかもしれないんだけど、この用途でのスポンジは違います。 そこそこ弾力のあるスポンジは、しっかり絞ろうとするとそれなりの力が要るんです。こと、冬場での作業は水が冷たく、長時間の手作業はじわじわと体に堪えてきます。

そして何より、担当者さんが気にしていたのは「絞り加減の個人差」でした。

Aさんはいつも丁寧にしっかりやってくれる。 でもBさんの日は、なんとなく甘い気がする…。 

衛生管理の観点からすると、この「なんとなく」が一番こわいんです、と。

結局、作業者の力加減が、その結果となってしまって、均一さがでない。 簡易的な絞り治具はメーカーから提供されているのだけれど、「これで大丈夫」という確信が持てない。 マニュアルにしようにも、「力加減は適宜」と書くしかなくなってしまう。

そこで、うちに相談がやってきました。

少し、海苔のうんちく。

少し、海苔についてのちょっとしたうんちくをいうと、味付け海苔が好まれるのは関西方面で、関東では焼き海苔が主流なんだとか。 

文化がちょっと異なってるんですよね。 あと、これはご存知でしたか? 

海苔には等級があって、その年の出来高とか、出来栄えによって等級付けされるんです。 それで、当然のことながら、等級の低い海苔は売れにくい。 そこで考え出されたのが、「海苔に味をつけて売る」ということらしいです。

それが、味付け海苔の始まりなのだとか。 

味付け海苔のつくり方。

その味付けの時に使われるのが、スポンジローラというわけです。 どんな風にするかというと、スポンジローラに調味液を浸み込ませて、そのローラに海苔をくぐらせることで、海苔の表面に味をつけるという方法が一般的な方法になります。 イメージは、こんな感じです。 

ローラを使って機械的に塗れば、海苔表面に均一に、かつ、的確に味をつけることができるというわけです。

味のつけ方の模式図。

そうそう、スポンジの素材には、当然、食品衛生上の試験に合格した人畜無害な素材が使わ

構成を考える。

既存の絞り用の治具を参考に、いったいどれくらいの力で絞ってるのか? を計測してエアーシリンダのボア径(サイズ)に換算して設計しました。 実は、エアー駆動にしたのには、明確な理由があって…。

水を使うので、電気的なものを使うと漏電・感電のリスクが生まれる。 それが一番の理由です。 その点、エアー式なら、感電のリスクがゼロで、ローラをセットしたまま水をかけながら洗浄することもできます。

現場での作業を考え、レバー操作で決めた回数を動かすだけのシンプルな操作で作業ができるように設計しました。 

ちなみに、絞った後の処理を付け加えておくと、その後は冷蔵庫に入れて保管しておくとのこと。 冷蔵庫の中はある程度乾燥していて、湿度がコントロールされ、カビや菌の抑制になるので、それで管理しているとのことでした。

動作は動画で確認できます。

装置が変えたのは、作業だけじゃなかった。

機械化して何が変わったか?

作業者の手が楽になった。 というのはもちろんなのですが、担当者さんが「一番よかった」と言ったのは、別のことでした。 それは、

「マニュアルに、ちゃんと書けるようになった」

ということです。 つまり、

「機械に◯回かける」という作業規定が決められる。
チェックリストに「完了」の記録が残せる。
誰がやっても、同じ基準で処理できる。

これは、HACCPをはじめとした食品衛生管理の「標準化・記録」という観点から見ると、とても重要なことです。

手作業の「なんとなく」が、機械化によって「明確な基準」に変わる。 その変化が、現場の安心につながっていたというわけです。 

「単純な作業だから」こそ、仕組みにする。

「手でできるんだから機械はなくても大丈夫。」

現場では… というより、本社や管理部門で、こういった考え方をよく聞きます。 

ベテランの作業者で回っているところなどでは、特に、こういった「細かい」作業が見落とされがちです。実際には、絶妙な力加減で作業されているのだけど、それが外目にはわからない。 簡単そうに行われるので、誰にでもできるだろうという「錯覚」がある。 

でも、単純な作業ほど、実は仕組み化の恩恵が大きいんです。 理由は三つあります。

ひとつ目は、個人差がなくなること。
機械は毎回同じ動きをするので、「誰がやっても同じ品質」が担保できます。

ふたつ目は、基準が決めやすくなること。
「◯回やればOK」という明確な規定が作れるので、マニュアル化・記録化がしやすくなります。

みっつ目は、人の時間が空くこと。
単純作業を機械に任せることで、より判断が必要な作業に人を充てられます。

これは「楽をする」という話ではなく、「人がやるべきことに、人の時間を使う」という、現場運営の本質的な話です。

また、作業スタッフの確保がままならなくなってきた現代だからこそ、「誰がやっても」とか、「〇回やればOK」という状態は、むしろ、人を雇うという面ではメリットになります。

もし「うちも検討したい」と思ったら。

この装置は、ワンオフでの設計製作です。 スポンジローラのサイズや設置環境に合わせてカスタマイズします。

社内での検討・稟議の際には、以下の観点で整理するとご説明しやすいかと思います。

【導入検討のための整理ポイント】

  • 現在の洗浄・絞り作業にかかっている時間と人数
  • 作業者間のバラつきによるリスク(品質・衛生)
  • HACCP・食品衛生管理の標準化・記録化の必要性
  • 冬場の労務環境改善の必要性

「うちの現場に合うか確認したい」「どれくらいの費用感になるか聞いてみたい」

まずは、現場の話を聞かせてください

「自社の現場でも当てはまるのか」
「どこから整理すればいいのか」

そんな段階でも構いません。 うまくまとまっていなくても大丈夫です。

※無理な営業や契約を前提としたご案内は行っていません。

※ 2026年5月 内容をリライト・更新しました。

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