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たかが手離れ、されど手離れ。

けたろーです。 寒くなってくると、だんだん朝がつらくなってきました。 ベッドからでれない。(^_^;) 我が家では、ストーブが登場。 って、さすがにまだつけてないけどね。

さて、今日の話題は…

『手離れ』大事!

『手離れ』って、聴いたことありますか? 

店頭での物販のような仕事なら、たぶん、あまり聞きなれない言葉だろうし、関係のない言葉なのかもしれません。 また、サービス業でも同じく。。かな?

製造業、特に、うちのような機械・設備をつくるような仕事をしてると、『手離れ』がものすごく重要になってくるのです。 あ、たぶん、システム屋さんとか、土木建築とかでも同じなのだと思います。

『手離れ』って、お客さんにモノをリリースして(検収)OKをもらうまでの間のことで、要は、売り手から買い手への流れの中で、買い手の了承(検収)を得られるまでの状況を『手離れがいい』とか『手離れが悪い』とかという風に言うんです。

お客さんにモノを渡して即時OKで代金がもらえるのであれば、手離れが良いっていうことになります。 物販の場合は、概ね、そうですよね。 例えば、店で本を売るなどの場合、店舗側は物の販売と同時に即時代金を得ることができます。 つまり、手離れがよいということです。

製造業でも業種や業態にもよりますが、そういうシチュエーションは、機械設備の場合にはほぼレアケースなんです。

加工業は手離れがいい方?

製造業でレーザー加工の工場を経営している友人と話したことがあって、彼曰く、レーザー加工は手離れがいいからね~ と。 手離れがそれほど悪くないから、その事業を始めたと聴いたことがあります。

確かに、荒っぽい言い方かもしれませんが、加工のオーダーがきて、カットしてお客さんのところに渡せば、終わりで代金がもらえる。 よほどのことがない限り、手直しなどは発生しなくて手離れがいいとのことでした。

また、得意先であるもう一軒のレーザー加工屋さんのところからも同じような話を聴いたことがあります。 そこは、仕事の守備範囲として溶接も手がけられていたのだけど、溶接をやめられました。 

部材をレーザーカットして、曲げ加工して、溶接という風に一貫してやってくれてたので、仕事をお願するには便利だったのだけど、やめた聴いてみると溶接業は手離れが悪いんだとか。 あと、職人の問題などの諸事情もあって、その業務を手放したと言われてました。 溶接不良などのクレームを考えると、手離れがいいとは言い難いのかなと思ったりします。

余程の加工不良や出来栄え(腕)の悪さなどを除いて、加工業では概ね、加工品があがったらそれで終わりなので手離れがいいのだと思います。

検収を挙げてもらうまでが勝負。

この仕事に就きだして親父からよく言われたのが、『検収を挙げてもらうまでが勝負』っていうことでした。 

それが、どういうことか… まず、機械を作っていくという仕事の流れをザクッと言うと、

見積もりして、機械のオーダーがきて、機械を設計して、作って、それをお客さんのところに納めます。 そして、それがお客さんの要求仕様に満足しているか? ということをお客さんがチェックして… という風な流れで進んでいきます。 ちなみに、これはうちの場合です。 うちはオーダーメイドのスタンスでやってるので、機械の在庫を置いてるわけではなく、オーダーの都度設計業務が入ります。 

で、問題になるのは、お客さんのところに納品してからなのです。 

お客さん『マター』な面は否めない。

当然、機械の設計の仕方や出来映えが一番重要なのですけど、それを満足していたとしても、お客さんの検収がどうなるか? がポイントになってくるのです。

言い方が悪いかもですが、要は、検収の可否はお客さん都合で何とでもなるという。。 (涙)

仕様を満足しているにも関わらず、何かしらの難くせをつけてくるところは、残念ながらあります。 たまに遭遇するのが、担当者はOKを出しているにもかかわらず、それに全く関係のない他部署の連中が、NGを出すというパターンとかがそれです。 また、仕様を決める際には同席せず、何の意見も出してこないのに、検収の時だけ現われて、仕様とは全く関係のないことで検収のGOを出さないという場合もありました。

例えば、ここがちょっと。。とか、ここにカバーをとか。 この製品は流せるのか? と仕様範囲外のものを持ち出したりとか、当初の仕様に含まれていない要求を平気で言い、それをしなければ検収OKをださないという一種の脅迫に似た感じを〝平気で〟言ってくるのです。苦笑

あとは、納品して、外観や動作確認をして、その場でOKではなく、しばらく使ってみないとOKを出してくれないというパターンなどもあったりしました。

結局、こちらとしても検収を挙げてもらわないと代金がもらえないということにつながるので、グッと耐えるしかないという状況が生まれるというわけなのです。 

〝それはないやろ?〟 って思われるかもですけど、理不尽なところは、ほんと、酷いくらい理不尽なのですよ。。

検収を挙げてもらうまでが勝負だ』というのは、そういうことです。

次の勝負は、『お金が振り込まれるまで。』

で、検収もあがって、やれやれ。。 と思うのもつかの間、次のハードルが相手の金払いです。 (^_^;)

『いちお、検収は挙げますけど。。。』 という条件をつけてくるところもあったりするんですよね。 

穿った言い方をすると、お客さんからすれば、検収をあげる=お金がでていく ということ。 支払いは後回しにしたい思うのは心情的に理解できなくもないのですけど、だからなのか、締日を先にずらして金払いを遅らせるとか、手形のサイトが妙に長いとかという策を講じられるところもあったりします。

『手形でもええやん』 って思われるかもだけど、サイトの期日がくるまでお金に変らないのです。 割引でおろせたとしも、それには手数料がかかってくるので、当初の満額にならないというね… また、フリダシをいれると、その案件のお金を得るまでに半年くらいかかるというところもあったりもしました。 

怖いのは不渡り。 うちは喰らったことがないのですけど、手形はリスクでしかないのです。 どれだけ優良な会社であったとしても、今の時勢、大手でも潰れてるということを鑑みると、会社名は保証にはなりえません。 

そうそう、うちの場合、新規のお客さんでは手形での支払いは容赦してもらってます。 10万、20以上は手形でというところもあったりするので、手形での支払は勘弁してもらってます。 

手離れは、良いに越したことはない。

お客さんとして、皆が皆、検収を渋ってお金を振り込みをずらすというところばかりじゃなくって、作り手の気持ちや状況を組んでくれるようなエンジェルさんもいて、納品後、直ちに検収をあげ、即効で振り込んでくれるところもあります。

けどともあれ…

機械をつくるという分野は、手離れという面を考えると、商売的にあんまり効率がいいとは言い難いのは事実として感じてます。 その分のリスクを見込んで金額を設定することは可能と言えば可能なのですけど、それでも、手離れがまずければ、入ってこないということですから、厄介ですよね。 相手からの支払いの遅延が、こちらの経営の根幹に響いてきます。

そうそう、手離れが悪いというのは、その分、持ち出しも多くなるということにもつながっていくんです。 要は、余計な経費がかかってしまうということです。 例えば、その案件が遠方のお客さんだとするなら、移動費や宿泊日当の面とか、パーツをつくってもすぐには取り付けにいけない状況下では時間的なロスとかも、全て経費になってきます。 目に見えない経費が余計に掛かってしまうということなのです。

金額の大小に関わらず、最終の支払いを完了してくれるまでの期間が不透明になるなら、安心して仕事ができないということにもつながります。 いろんな面を考えると、手離れする間を持ちこたえられるか? というリスクの方が大きいのは否めないです。 

大手メーカーがややこしい案件を引き受けなくなったのも、そういう理由があると思ってます。 多少、売り上げが落ちたとしても、すんなりと手離れがいい案件の方が楽でいいですもんね。

手離れをよくしていくために…

では、手離れをよくしていくためにどうすればいいのだろう? ということなのですけど、やっぱり、一番は、どんな案件をとるか? なのだと思いますね。 

当たり前のことなのだけど、簡単なものや楽な案件は確かにリスクも低くていいし、それに加えて確実に納めきれる見込みがあることが大前提ですよね。 

ただ、そればっかりやってるとマンネリ化してしまう嫌いがあったり、技術的な進歩も薄いと思えるので、個人的には、そこに『冒険要素』がないと、自分として成長していけないと思うので、そこは見極めとバランス感覚が必要なのかなとも思います。 第一に、たぶん、楽で簡単なやつばっかりやってると、ボク的には、そこに仕事の楽しさは感じられないのかなとも思えます。笑

あとは、言い方に語弊があるかもだろうけど、お客さんを見極めるということが大事かなって。 

先述した通り、お客さん都合で手離れが悪くなってしまうパターンもあるので、善きお客さんと巡り合い、善き関係を築くということが大切だと痛感してます。 結局、手離れのこと以前に、案件への目利きを良くして、自分のスキルをあげて、善きお客さんとともに成長できることが一番です。


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