作業とは何か? 現場品質を変える仕事観と次工程はお客様の考え方

ここんところ、ちょっと思うことがあって。
それは、「作業」についてのこと。

こんにちは。
生産現場での「手間」と「モヤモヤ」を減らす人、けたろーです。

大阪・柏原(かしわら)市で、
機械づくりと、話を聴くことの両方で、生産現場をちょっとラクな環境にしていくサポートをしてます。

でも、本当につくっていきたいのは、
余白(ゆとり)のある現場… 
だったりします。

さて…

作業って、なんだ?

工場の作業台で、青い作業着のスタッフが部品を手に取り、丁寧に確認しながら作業しているイラスト。後ろでも別の作業者が同じ工程に取り組んでいる。

「作業」って言葉を聞くと、
なんとなく単純で、機械的で、淡々とこなすもの…

なんて、
そんなふうに受け取られがちかなって思う。

でも、実際の現場ってそんなに単純でもない。

同じ “作業” でも、
どんな意識で向き合うか? で、
出来上がるものはけっこう変わるのだと思ってます。

ええ加減にやっても作業。
きちんとやっても作業。

言葉だけでとらえたら、
どっちも同じ「作業」なんだけど、
その差はちゃんと次の工程に出るし、
使う人にも伝わるし、
最終的にはお客様にまで届いていく。

日本のものづくりの現場では、
作業は、作業であっても、
「ただの」作業ではないと思うんだよ。

作業には、
「仕事への向き合い方」 とか
「自分の次へのこと」とか
「見えないところまでちゃんとやる感覚」とか…

それが
日本のものづくりの現場で育まれてきた
哲学的な要素というか、考え方というか…

その次元で「作業」を考えた時に
この先、どうなっていくのかなって、
ちょっとした危惧がある。

最近は、人手不足もあって、
外国人就労の方が現場に入ることも増えてきた。

作業をしてもらうには、
貴重な人手であり、戦力なのはわかるし、

それ自体は、
これからの現場にとって自然な流れなんだと
思うんだけどね。

作業のベースとなる「哲学」みたいなものを、
どう伝えていくんだろうな、とは思う。

今回はそんな話。
ただの作業なのか、こころのある作業なのか。
その違いについて、ボクなりの目線で書いてみたい。

作業って、ただ手を動かすことではない。

作業っていうと、
決められたことを、決められた通りにやること。

たしかに、それは間違いではないと思う。

だれでも簡単に、同じ手順で、
同じようにさせることは、効率や品質を
考える上では、すごく大切なことだ。

でも同じ手順で、同じ道具を使って、
同じ時間の中でやっていても、
人によって仕上がりが違うことって、
普通にある…。

それは、なんでか?

そこにはたぶん、
「ただやればいい」でやっているか、
「次のことも考えて」やっているか、
その違いなんだと思う。

作業って、
ただ身体を動かしているだけではない。

その人の気づきとか、気配りとか、
責任感とか、誠実さとか、
そういうものまで、けっこう出ます。

ええ加減にやっても作業。
きちんとやっても作業

左側で雑に部品を扱う作業者と、右側で整然と部品を並べて作業する作業者を対比して描いたイラスト。作業の質の違いを表現している。

ちょっとキツい言い方かもしれないだけど…

作業って、
ええ加減にやっても作業したことにはなる。

数はこなした。
言われたことは一応やった。
時間内には終わった。

それだけ見たら、
「はい、作業完了です」
という話にはなるかもしれない。

でも、ただ早くするのと
きちんとやるのでは意味が変わる。

汚れが残っていないか見る。
ズレがないか確認する。
次の人が困らないようになっているかを考える。
ちょっと気になったら、ひと手間かける。

こういうのって、記録には残りにくい。
でも、品質には残るし、信頼にも残る。

同じ作業って言葉でくくられていても、
中身はぜんぜん違う。

作業とは、信用・信頼への工程

こんなことを聞いたことがある。

フライス盤での加工仕事で、
数のある仕事だったらしいのだが…

フライス盤での加工には、バイスを使う。

バイスとは、
ワーク(加工対象物)を固定する器具のこと。

ワークを固定する際には、バイスを清掃してから
作業を行うのだが…

彼の作業は確かに、はやかったらしい。
でも、加工上がりの製品には、
傷も多かったようだ。

なんでか? 

バイスを清掃をええ加減にしていて、
バイスに残った切粉(切削時の切カス)で
ワークを傷つけてた。

そうなると、せっかくの加工品も全部アウト。

おのずと、彼の作業も「無駄」ということ。

早いだけでもダメ。 かといって、
丁寧さを求めて、時間をかけるのがいいのか?

というと、それはそれでだめ。

早く、丁寧に。 

それが作業の基本であり、その人の信用・信頼に
つながって、しいては、会社としての信用・信頼に
つながっていく。

神は細部にやどる、は、
ほんまにそうだと思う

青い作業着のスタッフが虫眼鏡を使って小さな部品を確認しているイラスト。細かな部分まで注意を払う現場の姿勢を表している。

ものづくりの現場って、
大きな設備とか、派手な仕組みとか、
そういうところに目が行きがち。

でも実際に品質を左右しているのは、
細かいところの「人の作業」だったりする。

ほんの少しの位置ズレ。
ちょっとした締め忘れ。
少しの拭き残し。
ちょっとした違和感の見逃し。

こういうのって、
「まあ、このくらいでいいか」で
流そうと思えば流せることもある。

でも、その 小さいまあいいか が、
あとで不具合になったり、手戻りになったり、
信頼を落とす原因になったりする。

逆に、
細かいところをちゃんと見られる人がいる
現場は強い。

大きな問題になる前に気づけるし、
次の工程でのムダも減るし、
最終的には使う人の安心にもつながる。

「神は細部にやどる」っていう。

それは、機械の作業ではない。
「人」の作業の結果。

少し洒落た言葉っぽく聞こえるけど、
現場ではほんまにその通りだなって思う。

やらされているのか、
自分でやっているのか?

左で気の乗らない表情を見せる作業者と、右で前向きに親指を立てる作業者を並べて描いたイラスト。仕事への向き合い方の違いを表現している。

作業にかかる感情。

同じ作業でも、
気持ちの入り方で中身は変わる。

たしかに、自分にとって嫌な作業も
あるけど…

言われたからやる。
仕方なくやる。
早く終わればそれでいい。

そういう気持ちでやると、
どうしても、クオリティに影響する。

何か問題が起きても、
「自分は言われた通りやったし…」
で終わってしまうこともある。

でも、

自分の仕事としてやる。
少しでも良くしたいと思ってやる。
次の人がやりやすいようにしておく。

そういう気持ちで向き合うと、
同じ作業でも、やっぱり質が変わる。

誰も見てないから、適当にするんじゃない。
誰かに見られているから丁寧にやるんじゃない。

自分が納得できるかどうか?
そこって、けっこう大きい。

結局、作業の質を決めるのは、
手順書だけではない。

その人が、その仕事を
自分のものとして引き受けているかどうか。

大事なのはそこなんだと思う。

「次工程はお客様」 という考え方

青い作業着のスタッフが、整えて並べた部品を載せたトレーを別の作業者に笑顔で受け渡しているイラスト。次工程への配慮を表している。

日本のものづくりの現場には、
「次工程はお客様」っていう考え方がある。

これ、すごく大事だと思っている。

ボクが機械を考えるときも、
この言葉をすごく意識して、設計をする。

「自分の作業」は、自分で終わりではない。

常に、次が待ってる。

次に受け取る人が困らないか?
次の工程でやりやすい状態になっているか?
安心して引き継げる形になっているか?

そこまで考えて、
はじめて仕事がつながっていく。

たとえば、
分かりやすく並べておく。
向きを揃えておく。
汚れたまま渡さない。
異常があったら一言添える。

どれも、
ものすごく大きなことではない。

でも、こういうひと手間が次の人にはかなり効く。

その積み重ねが、現場全体の流れを良くする。

目の前の作業だけを見て終わるんじゃなくて、
その先に人がいるってことを忘れない。
この感覚がある現場は、やっぱり強いと思う。

外国人就労が増える時代だからこそ、
伝えたいことがある

青い作業着のスタッフが、別の作業者に向かって指差ししながら説明しているイラスト。背景には図や記号があり、現場で考え方や注意点を伝えている様子を表している。

最近は、ホントに
どこも人手不足だと言われている。

製造の現場でも、外国人就労の方が入るのは、
もう珍しいことではないし、ボクの周りでも
外国人就労の方を雇ってるところも多くなってきた。

人がいない。
採用できない。
だから外国人の方の力を借りる。

これはもう、
現実として自然な流れなんだと思う。

実際、真面目に働く方も多いし、
現場を支えてくれている大事な存在だと思う。

ただ…

ここで考えたいのは、
人数が埋まることと、
仕事の中身とか想いが受け継がれることは
同じではないってこと。

日本の製造現場って、長い時間をかけて、

「少しでも良く仕上げる」
「次の人が困らないようにする」
「見えないところもちゃんとやる」
「自分の工程の先にお客様がいる」

みたいな感覚を育ててきたと思う。

これって、
手順書だけではなかなか伝わらない。

なんでそこまで拭くのか。
なんで向きを揃えるのか。
なんで異常を黙って流したらあかんのか。

なんで “これくらいでいいやろ” が、
あとで大きな問題になるのか?

昔のように、見て覚えろ!な時代は、
すでに、終焉。

こういうのって、
ちゃんと言葉にして伝えないと、
伝わらない時代になってきているんだと思う。

こういうことって、
日本人同士でも難しいことだよね。

言葉の違う外国人相手となれば、
なおさらなんだと思える。

言葉も文化も、
育ってきた環境も全く違う人と一緒に働くなら、

「こうするものだ」ではなくて、
「なんでそうするのか」まで伝える必要がある。

これは、外国人の方だけの話ではなく、
日本人の若い世代にも同じことが言えると思う。

作業として教えるだけじゃなくて、
その背景にある考え方とか想いまで伝える。

そこまでやって、
ようやく日本のものづくりの強みが残っていくんだと思う
のだが…。 

外国人就労の問題は、根が深いのだと思える。

概ね、「お金が目的」での就労。
日本の文化や仕事の仕方まで、「リスペクト」してる
やってくる人はなかなか… なんだと思えるから。

でも、雇う側として、ただの人工(にんく)で
迎え入れるのではなく、会社の「経営理念」を
きちんと伝え、理解してもらうことが大事なのかなと
思うんだけど。

教えるべきなのは手順だけじゃなくて、
仕事観かもしれない

クリップボードを持った作業者が、別の作業者に仕事の考え方を説明しているイラスト。吹き出しの中のハートと人のマークで、思いやりやお客様意識を表現している。

作業をわかりやすくする上で、

手順書をつくる。
写真をつける。
動画で見せる。
多言語対応にする。

こういう工夫はもちろん大事。

でも、
それだけだと足りないこともある。

なんでかというと、
仕事の質を決めるのは、やり方だけじゃなくて、
その作業をどう受け止めているか? だから。

作業をこなせばいいのか。
次に渡すところまでが仕事なのか。
不良を出さなければそれでいいのか。
安心して使える状態まで考えるのか。

ここが違うと、
同じ手順でも結果が変わる。

大事なのは、「マニュアル」ではない。

だからこれからの現場は、
「こうやってください」だけじゃなくて、

「なんでそれが大事なのか」
「この作業の先に誰がいるのか」
「どこにこの現場の想いがあるのか」

そこまで伝えていく必要があるんだと思う。

作業を教える以前に、会社としての
仕事観や理念を伝える。人間性を高める。

結局、「人間性」が大事であって、
面倒に見えるけど、
実はそれが、いちばん現場を強くする
土台なんだろうなと思う。

こころがある作業は、品質だけじゃなく、
空気まで変える

3人の作業者が笑顔で親指を立てたりOKサインを出したりしているイラスト。明るく前向きな現場の雰囲気を表している。

「こころ」がある作業って書くと、
ちょっと精神論っぽく聞こえるかもしれないね。

でも、実際はかなり現実的な話なんだと思える

丁寧に扱う。
次を考える。
細部を気にする。
自分ごととして引き受ける。

あと、
自分自身が楽しんでやる。

こういう姿勢って、結局、

不良を減らすし、
手戻りを減らすし、
確認の手間も減らすし、
クレームの芽も減らす。

それに、
自分が楽しくやっていれば、
作業も苦にならない。

もうひとつ大きいのが、
現場の空気が変わることだと思う。

雑に扱う人が増えると、現場は荒れる。
誰かがフォローして、
誰かが後始末して、
誰かが黙ってしんどい思いをする。

嫌々やっていると、場が乱れる。
空気が落ちる。

逆に、
丁寧に仕事する人が増えると、
現場は落ち着く。

楽しそうにやっていれば、
お互いに気を配る流れができるし、
信頼も生まれる。

これは、日本人か外国人か、って話ではない。

現場に関わる一人ひとりが、
「ここまででいい」ではなくて、
「次につながるようにやろう」と思えるかどうか。

その共通認識が育てば、
国籍に関係なく、強い現場はつくれるんだと思う。

まとめ|作業の中には、
その人の仕事観が出る

3人の作業者が中央で手を重ね、笑顔でつながっているイラスト。仕事観や想いを共有しながら現場をつくっていく様子を表している。

作業は、ただの作業ではない。

ええ加減にやっても作業。
きちんとやっても作業。

でも、その差は、細部に出る。
次の工程に出る。
お客様にも伝わる。

そして、現場全体の信頼に現れる。

これからは、人手不足の中で、
いろんな背景を持った人たちが
一緒に現場を支えていく時代なんだと思う。

だからこそ、
ただ人を集めるだけではなくて、
この国のものづくりが大事にしてきた
仕事観とか想いを、
どう伝えていくかが大事になってくる。

やらされている仕事なのか。
自分で引き受けている仕事なのか。
そこに、こころはあるのか。

作業の中には、その人の仕事観が出る。

派手なことをしなくてもいい。
大きなことをいきなり変えなくてもいい。

まずは、目の前のひとつの作業を、
少し丁寧にやってみる。

次の人のことを、ちょっと考えてみる。
その意味をちゃんと言葉にして伝えていく。

そして、自分自身が楽しんでやる。

そういう積み重ねが、
いい現場をつくっていくんだと思う。



ここまで読んでくれて、ありがとうございます!

まず、話してみませんか?

現場のことで「なんとなくおかしい」
と感じていることがあれば、まず、話してみませんか?

うまくまとまっていなくても大丈夫です。

※ 無理な営業や契約を前提としたご案内は行っていません。

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青い作業着のスタッフが、整えて並べた部品を載せたトレーを別の作業者に笑顔で受け渡しているイラスト。次工程への配慮を表している。

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