現場では、こんな言葉を聞くことがあります。
「彼に任せておけば大丈夫」
「あいつは器用で早い」
「この作業は、彼しかできない」…
こんにちは。
生産現場での「手間」と「モヤモヤ」を減らす人、けたろーです。
大阪・柏原(かしわら)市で、
機械づくりと、話を聴くことの両方で、生産現場をちょっとラクな環境にしていくサポートをしてます。
でも、本当につくっていきたいのは、
余白(ゆとり)のある現場…
だったりします。
さて…
そんな風な言葉とか、会話、きいたことないですか?
属人化は「できる人」がいることで起こりやすい
『あの人に任せとけば、大丈夫』
一見すると、それは頼もしいことのようにも見えるし、
実際、できる人が現場を支えている場面は少なくないですよね。
しかし、その状態が続くと、
気づかないうちに属人化が進んでいきます。
属人化とは、
特定の業務やノウハウが特定の個人にしか分からず、
その人に依存している状態のこと…を言います。
その人の能力が高いこと自体が悪いわけではなくて、
高い能力を持っているその人に頼りすぎてしまうことに
問題があるんです。
逆に言えば、能力がある人がいるからこそ起こりやすい
ということも言えます。
で、属人化というと、
何か悪いことのように聞こえるかもしれないですよね。
でも、きっかけは意外と自然なんだと思います。
たとえば、
- 彼に任せておけば早い
- あいつは器用だからうまくやる
- あの人しかこの機械を触れない
- 困ったら、あの人を呼べば何とかなる
こうした状況は、現場ではよくあることです。
加えて、
たまたま、最初にその仕事に担当したがために
毎回、その仕事をすることになって属人化した…
というのもありますよね。
たまたま適任だったという感じ。
そして、忙しい現場ほど
できる人に仕事が集まりやすい傾向にあります。
早い人に任せた方が、その場は回る。
器用な人にやってもらった方が、失敗が少ない。
だから、自然とその人に頼る流れになります。
でも、その繰り返しが、
「その人しかできない仕事」を増やしていきます。
ここから属人化は始まっていくんだと思います。
作業者側の気持ちが、属人化を深めることもある

で、
「属人化」がなぜ生まれるのか? という点について。
それは、周りが作り出していくことだけではなくって、
当事者本人が生み出しているというケースもあります。
たとえば、
「俺がいなければ、ここは回らない」
「これは簡単には教えられない」
「自分がやった方が早い」
「変に触られると余計にややこしくなる」
こうした気持ちは、現場では珍しくないと思うんです。
単純には、
「この仕事、とられたくない…」という感情も。
もちろん、
その人にも理由はあるはずです。
実際に、教える時間がない。
教えても、すぐにはできるようにならない。
中途半端に任せると、かえって手戻りになる。
などといった現実もあります。
だから一概に、その人が悪いとは言えないです。
ただ、その状態が長く続くと、
技術や判断が、その人だけに蓄積され、
すると、周りはますます頼るようになり、
本人はますます抱え込むようになる。
そうやって、属人化は強くなっていくんです。
「その人しかできない」は、
現場全体の生産性を下げる
一人の優秀な人がいることで、現場が助かることはあります。
おそらく、事業の創成期などでは重要な役割です。
でも、ある程度規模が大きくなってきて、
その人しかできない状態は、逆に現場全体で見るとかなり
不安定な状態を生みます。
たとえば、
- その人が休むと止まる
- 忙しいときに仕事が集中する
- 他の人が育ちにくい
- 教える機会が後回しになる
- ボトルネックが見えにくくなる
ということが起こりやすくなってきます。
つまり、一見すると回っているように見えても、
実際には一人の力で無理やり支えている状態になっている。
この状態では、全体の生産性は上がりにくいです。
仕事が分散せず、能力も共有されず、結果として
現場全体が弱体化してしまう。
また、品質という面でも危ういです。
その人に依存しているという状態は、その人の状態が
品質に大いに関わっているともいえる。
品質は、信用に直結します。
属人化は、
その人の能力を活かしているようでいて、
長い目で見ると、
現場の伸びしろを止めてしまうことがあるんです。
長い目で見れば、信用とのトレードオフである…ともいえます。
ベテラン高齢化の問題と、
属人化

ここに重なってくるのが、ベテランの高齢化問題です。
現場には、パート、社員に関わらず
長年の経験で成り立っている作業があります。
マニュアルには出てこない感覚。
ちょっとした調整のコツ。
段取りの勘どころ。
トラブル時の見方。
なんとなくを操れる感性。
長年による蓄積による技術というか、感性。
こうしたものを、
ベテランと言われる人たちが持っていることは多いです。
それは本当に大きな力であり、とてつもない戦力になります。
ただ、
その技術や判断能力が、その人の中だけにある状態のままだと
将来的には大きな不安要素になります。
- いつまで現場に立てるのか
- 急に休んだらどうするのか
- 引退したあと、誰が引き継ぐのか
- 教える時間は本当に確保できているのか
こうしたことを考えると、
属人化は「今は回っている」では済まされない問題です。
今まで、それで回っているからこそ、手を打つのが遅れやすい。
そこが怖いところだと思います。
むしろ、
それに依存している状態に気が付いていないという状況こそが
問題なんです。
属人化の問題は、
人ではなく仕組みで見るべき

ここで大事なのは、属人化を
誰か一人に向けた、その性格や姿勢の問題にしないこと
だと思うんです。
「あの人が教えないから悪い」
「あの人が抱え込むから悪い」
と見てしまうと、話が進まない。
そうではなくて、そもそも、その現場が、
- 教える時間をつくれているか
- 一人に集中しやすい流れになっていないか
- 平準化への取り組みをしているか
などということを見た方がいいと思います。
属人化は、その人個人が悪いというより、
組織としての仕組みの問題に由来することが多いです。
つまり、属人化は
そうならざるを得ない仕組みの中で起こるということです。
だから、解決には、
仕組みを見直すことが大切なんだと思います。
すべてを標準化できなくてもいい。
現場の仕事の全部を
マニュアル化できるわけではありません。
人の感覚が必要な場面もあるし、経験に頼る仕事も当然、
あります。
でも、だからといって
「属人化は仕方ない」
で終わらせてしまうのも違う気がするんです。
大切なポイントは、「誰でもできる」体制にする
ということ。 つまり、「平準化」していくこと。
たとえば、
- 手順を見える化する
- 判断ポイントを書き出す
- よくあるトラブル対応を共有する
- 治具や仕組みで作業差を減らす
- 一部だけでも機械化する
- 誰でも扱いやすい流れに整える
こうしたことを少しずつ積み重ねるだけでも、
属人化は和らげていけます。
全部をなくすことは難しくても、
一人しかできない状態を減らしていくことは
できるはずなんです。
機械化や仕組み化は、
属人化対策にもなる

属人化の前段には、たぶん、「単能工」があるとおもうんです。
単能工とは、
1人の作業員が単一の専門的な工程や機械操作のみを担当する
働き方のこと。
それが高じて、属人化を生んでいくのかなって。
その一方で、単能工の反対が、多能工です。
多能工とは、1人のスタッフが複数の異なる作業や機械操作を習得し、
それらを使い分けて業務をこなす働かせ方。
ひとりひとりが何役もの仕事をすることができるため、
属人化が起こりにくいんです。
作業現場として、多能工な視点で、スタッフの育成をしていけば
属人化への流れは抑えられるのだと思います。
でも、それが難しい場合もありますよね。
省力化への意味のひとつが、属人化を減らすことなんです。
ボク(大青鉄工)が機械や仕組みを考えるとき、
そこには単なる省力化だけではない意味があります。
たとえば、
- 手作業のばらつきを減らす
- 手順を一定にする
- 誰がやっても近い結果になるようにする
- 判断に頼りすぎない流れにする
- 特定の人に集中していた作業を分散しやすくする
こうしたことは、
機械化や仕組み化で助けられる部分があります。
もちろん、
全部を機械に置き換える必要はなくて、それでも、
一部分だけでも整えることで、
現場はかなり変わることがあります。
属人化を減らすというのは、
誰か一人に無理をさせない現場に近づけること
なんだと思います。
まとめ
「彼に任せておけば大丈夫」
「あいつは器用で早い」
「彼しか使えない」
こうした言葉は、現場ではよく聞きます。
そして実際、
そういう人がいるから助かっている場面もあります。
でも、その状態が続けば、
仕事や技術が一人に集まり、
周りが育ちにくくなり、
現場全体の生産性を下げてしまうことがあります。
さらには、品質や信用にも関わってきます。
さらに、ベテランの高齢化が進む中では、
属人化はますます大きな課題になります。
大事なのは、属人化を
「誰かが悪い」で終わらせないことです。
人の問題ではなく、
仕組みの問題として見ていくこと。
そして、少しずつでも
- 見える化する
- 共有する
- 平準化する
- 機械や仕組みで助ける
という方向へ進めていくことが大切なんだと思います。
現場を強くするというのは、
すごい人を一人つくることではなく、
誰か一人に頼りすぎなくても回る状態に近づけること
なのかもしれないですね。
属人化の悩みは、
人ではなく仕組みから見直せることもあります。
「一人しかできない作業がある」
「ベテラン頼みになっている」
「教える時間が取れず、平準化が進まない」
そんな現場のお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
大青鉄工では、現場に合った仕組みづくりを一緒に考えています。
