新緑の季節とはいうものの、もはや、初夏の頃合いですね、暑いです。 ところで、バーリング加工ってご存知ですか?
こんにちは、
大阪・柏原で、時短設計®の視点で、生産環境への「ゆとり」をテーマに、〝合理化・省力化〟に向けた機械・装置をワンオフで手掛けています。 ダイセイテッコウ けたろーです!
さて…
バーリング加工。 細々とやってます。
バーリング加工って、ご存知ですか? バーリング加工とは、
という加工を指していて、プレス加工の一種になります。
よく使われているシーンは、上記の概要にもある通り、薄板でネジを使う際にタップが切れない(ネジ山を形成できない)ので、立上げ加工をしてネジ部分を確保したいという場合に使われます。
下図中、Aの部分の立上げを行う加工がバーリングです。

銅管へのバーリング加工。
板状の素材に対してのバーリングは、比較的簡単なのだと思います。 部材がフラット(平面)だとバーリング用の金型のアクセスが行いやすい。
でも… 管のような場合はどうでしょうか?
実は、ちょっとテクニックがいるんですよね。 ご縁があって、うちは銅管へのバーリング加工をやってます。
銅管にバーリング加工? って思いますよね?
ではなんで銅管にバーリング加工するのか? っていうと、ロウ付時の補助とか、補強の意味があるんです。
銅管は、概ね、空調設備で使われます。
空調機のコイル… つまり、熱交換器のところで使われるのですけど、ヘッダー(幹になる部分の管)に枝管をロウ付して、アルミのフィンへ… というところで、ヘッダーへの枝管のロウ付け作業を行いやすくして、且つ、ロウ付時の根元の補強の意味合いでバーリング加工をしているんです。
こんなイメージです。

図で言うと、左側がバーリング加工した場合で、右が穴加工だけでの場合。 バーリングしない場合は、穴に枝管を入れて穴の周囲をロウ付けするという格好になります。 管の面に合わせるようにロウ付けを行うと、強度がでないので、ある程度管に差し込んでロウ付けするという形になります。
この時、管の内側へ枝管が突き出てしまう格好になるので、それが抵抗になって、管内部での流体(水など)の流速に影響がでてしまうというわけです。 一方で、バーリング加工すると、枝管の根元が補強され、且つ、管内部への枝管の突出も減るので機器的に良いんですよね。
実は、関わりは長いです。
銅管バーリング加工との関わりは、かれこれ30年くらい? になるのかなって思います。
この会社、〝ダイセイテッコウ〟を立ち上げたくらいでボクが入る前から、対応しています。
その当時ボクはまだ学生で、晩飯食ってる時に、「こんな加工頼まれてるやけど、どうやってやろうかな…」なんて、親父が話してたのを覚えてます。
キッカケは??
地元が東大阪である親父には、町工場をやってる友人が多くいて、その中の1人が給湯関連の部品加工? 設備? (詳しくは知らないのだけど…)をやっていて。 その彼からの依頼だったようです。

ヤスミッちゃん(親父の呼称)、
こんな加工あるんやけど、自分とこででけへんか?
(訳: こういう加工があるのだけど、お宅でできないか?)
詳しくはしりませんが、概ね、そんな感じの相談事がキッカケだったみたいです。
ちなみに、銅管にバーリング加工を行う装置というか、器具というか、治具みたいなものは、ドイツかどこかの海外製で存在していて、それを使って加工をしているところも多いみたいです。 でも、加工はできても仕上がり具合がイマイチらしくて。
海外製のやり方は、バーリング用の下穴をあけて、その穴に器具(治具)を回転させながらいれて、穴の縁を内側からひっかけて持ち上げる… というようなやり方。
その方法だと、立ち上がった箇所の厚みが均一でないというのがあって、それがロウ付時にはよくないのだとか。 なので、別の方法でやる必要があったようです。
うちは機械創りが専門で、親父の仲間内では、うちに言えば、だいたいのことは解決してくれる… みたいな感じになっていて、そんなのもあって、その話しがきたんだと思うんだけど、親父には金型作りの知識と経験もあったんで、自前で装置を開発して、それが今に繋がっているという具合です。
当初は…
親父の友人からの依頼で始めた銅管のバーリング加工。
ボクがこっちに戻ってくる前には、バーリング加工だけでもかなり忙しかったようです。 ボク自身、前職時代の休日にはちょくちょく実家に帰ってたんで、たまにその加工を手伝ってました。w
当時の得意先で言えば、某松〇電器さん。(今は、社名が変ってますが… w)
何がきっかけで、そこから仕事の依頼が来たのかは知らないのだけど、床暖房用途で銅管を使うのでバーリング加工をしてほしいとのことだったようです。 ボクが知る限り、某松〇さん向けへはかなりの数量の本数をやってましたね。 それこそ、パートスタッフをいれて対応してたくらいなので、相当数。
加工時の基準も結構、うるさかったみたいで。(^_^;)
定ピッチで加工されているか? また、バーリング径が守れているか? 立ち上げ個所に割れ等の異常がないか? 検査して納めなさいとのことで、専用の検査治具を作って、それを使って検査して納品という形をとっていました。
また、本数もしっかり数えて、少ないのは無論だめで、多くてもダメ…って感じ。 まぁ、当たり前かもしれませんが、それまでの加工依頼のところよりは要請が厳しかったみたいです。
そんな状況も、それも程なくして〝滅〟。
国内での生産を中国?にシフトするとかで、また、銅管に変って樹脂製のパーツを使うとか… ってことで、某松〇さん向けの仕事は完全に消失したのでした。
下請けのような仕事をしていると、相手次第で売り上げが… となるのはよくあること。 一社依存ではアカンという典型でしたね。 でも… 某松〇さん向けの他に、その友人の会社の給湯器向けの銅管への対応とか、某空調機メーカーへの対応とかがあったので、今に至ってます。
ちなみに現在は、某空調機メーカー向けへの対応がメインで、たまに、以前に対応させてもらったところからの依頼をするような感じです。 ごくまれに、『船舶用途』で使うとのことで、加工依頼がやってきます。
そう言えば…
これは仕事には結びつかなかったんだけど、バーリング加工という流れの中で、某自動車メーカーから加工の試作を依頼されたことがあります。 フレームの強度をとるのに、バーリング加工をやってみたいので~ ってことで、来社されました。
アルミ製の車体フレームにバーリング加工ができないものか? という依頼で、トライさせてもらったのだけど結局は…
けど、いい経験になりました。
技術を盗みに?
これは母親から聞いた話なのだけど、バーリング加工をやり出してしばらく、技術を盗みにこられた会社があった…らしいです。 未遂だったらしいけど…


当時、親父が外出中で母親が工場でひとりで留守番してた時のこと。 得意先と名のる方が来られて、バーリングについてのことをあれやこれや聞いてきたらしいのです。 で、工場に置いてあるバーリングの装置をシゲシゲと…
そんな行動に、母親も 『??』 と思ったんで、あまりはっきり見えないように防いだと言ってました。
程なくして戻ってきた父に、母がその状況を伝えたそうなんだけど、親父は怒って得意先へ物申す! という事態へ。 そりゃそうでしょうよねぇ。 やり方がコスイというか、フェアじゃない。
しかも、たまたまかもだけど、主(あるじ)がいない間に…
訪問してきた担当の上司が平謝りで対応してくれて、大きな問題にならなかったみたいだけど、なんかね。(^_^;)
その頃は、カバーもしてなかったので、内部構造が丸見え(って言うても、そんな大そうな機構ではないのだけど。w)。 それ以降、カバーしといた方がええんちゃうん? ってことで、前面にカバーを設置しました。
ボクが戻ってきてからも、バーリングのやり方についてのことをいろいろ詮索してくる会社さんもいました。
技術を盗って、自分ちで何とかしたい…
まぁ、気持ちは分からなくもないんだけど、盗る… んじゃなくて、どうせならちゃんとした契約でパートナーとして仕事をする方がいいのになって思うんだけどね。 いろんな会社さんがいるもんですよね。
親父曰くは、



端材で作ったような機械。
みんな大そうに考えすぎやねん。
ですって。 w
加工の事例。
加工の事例は、こんな感じです。
給湯器用途。
これは、給湯器関連でやった事例です。 どんな個所に使われるのかは、良くわからないんですけど。 (^_^;)




空調機向け。
今は、空調機系をメインでやってます。




こんな感じです。 ヘッダー径は、最大Φ76.2mmまで。 バーリング径は、Φ66.68mmまで(ヘッダー管76.2mmに66.68の管をロウ付けする形)。
画像でもわかる通り、千鳥の配置もできます。 ヘッダー管76.2や66.68の場合、3列のバーリングも可能です。 長さは、2mちょいまで。










管の内部は、こんな感じ。


きれいでしょ? w
バーリング加工の詳しくは、こちらのページにも載せてます。


加工について。
ここまで、技術紹介しておいてなんですが… 諸事情により、現在、新規での対応は控えてるんです。 諸事情とは体制的な面が大きいのですけどね。
基本的に材料支給で、〝ひと穴につき、ナンボ〟の加工でやっていて、その単価と運送費の兼ね合いで合致するなら… という感じですね。
しかし、まぁ、相談にはのれますので、ご安心を。
ご相談、お問合せはお気軽にどうぞ。
そうそう。 【機械化・自動化相談所】はじめました。 人手不足をなんとかしたいとか、機械化を考えてみたいんだけど話しを聞いてほしいとか。 お気軽にどうぞ。










