機械の生産品質は、位置決めと姿勢が9割。

生産機械の設計をするとき、ボクがいつも最初に考えることがあります。
それが、位置決めと姿勢です。

こんにちは。
生産現場での「手間」と「モヤモヤ」を減らす人、けたろーです。

大阪・柏原(かしわら)市で、
機械づくりと、話を聴くことの両方で、生産現場をちょっとラクな環境にしていくサポートをしてます。

でも、本当につくっていきたいのは、
余白(ゆとり)のある現場… 
だったりします。

さて…

生産機械で、製品の品質を維持していくのは結構、悩ましかったりしますよね。
軌道に乗ってしまえば、そうでもないかもですが、特に、立ち上げ時には気を使います。

安定稼働していくために重要なのは、位置決めと姿勢だなって痛感してます。

どういうことか、説明しますね。

たとえば、何かを印字する機械があるとします。

ワークが毎回同じ位置に来て、同じ向きで止まる。

それが安定して実現できれば、印字のズレはほぼ起きません。

逆に、
位置がバラついたり、傾いて入ってきたりすると、どんなに高性能な印字ヘッドを使っても、結果はばらつく。

機械の品質は、スペックじゃなくて、位置決めと姿勢で決まる。

ボクはそう思っています。

位置決めとは、「毎回同じ場所に止める」こと。

ワークを決まった位置にピタッと止める。

簡単そうに聞こえますが、これが結構難しい。

搬送のスピード、ワークの重さ、
コンベアの振動、温度による部品の膨張。

いろんな要因が積み重なって、位置はじわじわとズレていきます。

だから機械設計では、「毎回同じ位置に誘導する仕組み」を最初から組み込んでおく必要があります。

最初から狙った位置に入ってくるように設計する。そこがポイントです。

姿勢とは、「傾きや回転を整えること」。

位置が合っていても、ワークが傾いていたら台無しです。

ラベルを貼る工程を想像してみてください。

ワークが少し回転して入ってくると、ラベルが斜めに貼られる。
それが毎回少しずつ違う角度だと、検査ではねられる原因になります。

また、例えば、液体などを充填する工程の場合では、姿勢の問題は顕著です。 

姿勢がまずければ、充填ができずに、こぼれます。

姿勢を整えるというのは、傾きをなくして、毎回同じ向きで処理できる状態をつくること。

位置決めと姿勢、この2つが揃って初めて、安定した品質が生まれます。

でも、ここに落とし穴があります。しかも2つ。

位置決めと姿勢を考えるとき、
実は落とし穴が2つあるんですよね。

まず、機械の機構そのものの考え方と、あとは、投入する資材の品質。

ちょっと、説明します。

落とし穴① 「生成り」で捉えてしまう問題。

工場のコンベア上で部品がばらばらの向きのまま流れ、整列しない状態を、作業員が困惑した表情で見つめている温かみのあるアニメ調の横長イラスト。部品ごとに傾きや位置が微妙に異なり、不安定な流れが表現されている。

これは、予算の都合や設計の工数の問題で、ついやってしまうことがあります。
あとは、少し安易に捉えてしまって、やってしまいがちなのがこれです。

自由落下や自然放出…
物が流れてくる状態をそのまま捉えようとする、いわゆる「生成り」での設計です。

強制的に矯正する機構を入れず、物が来た状態のままで位置決めしようとする。

試作や少数の場合はうまくいくことがあります。
数個流してみたら「いけるかも」と思う。

でも、何百個、何千個と数を流していくと、必ずイレギュラーが出てきます。

理由はシンプルです。

生成りの状態では、物の向きや姿勢はランダムになりがちです。
自由落下してきた物がどの向きで着地するか、毎回微妙に違う。

つまり、着地した時点で位置も姿勢も定まっていない状態から始まることになります。

そこから位置決めしようとしても、出発点がバラついているので、結果もバラつく。

数十個の様子だけで判断してしまうと、ランダムな状態を見誤ってしまうんです。

だから、位置決めと姿勢を確実に整えるためには、生成りではなく、強制的に矯正する方法が必要です。

物が来る前の段階で、向きや姿勢を揃えてから受け渡す。
そこまで設計して初めて、安定した位置決めができます。

むろん、コストや工数はかかります。でも、
ここを省いてしまうと、後からどれだけ調整しても収束しない問題になりやすいんです。

落とし穴② 投入する資材の品質が安定していない問題。

工場内で、精密な機械のそばに積まれた同種の資材を作業員が手に取り、厚みや反りの微妙な違いを確認している温かみのあるアニメ調の横長イラスト。整った機械と不揃いな資材のギャップが伝わる構図になっている。

もう一つの落とし穴が、資材の品質です。

例えば、フィルムの厚みがロットによって微妙に違う。
台紙の反りが毎回少しずつ異なる。ワーク自体の寸法公差が大きい。

そういう資材のバラつきがあると、どんなに精度の高い位置決め機構を組んでいても、結果がばらついてしまいます。

機械は、毎回同じ条件で動こうとしています。でも、入ってくるものが毎回違う。これでは安定しません。

「資材は変えられない。機械側で何とかして」という壁。

実は、これに近い経験をしたことがあります。

資材のバラつきが原因で品質が安定しない。
でも、「資材はこんなもの。変更はできないから、機械側で対応してほしい」と言われる。

気持ちはわかります。

資材の調達先を変えるのはコストも時間もかかる。簡単には動けない事情がある。

でも、正直に言うと、これは非常に難しい問題なのです。

機械側でできる調整には限界があります。資材のバラつきを吸収しながら、かつ品質を安定させる——それを機械だけに求めると、機構が複雑になる。

複雑になれば、調整箇所が増える。調整箇所が増えれば、またズレが出やすくなる。

問題が収束しないんです。

機械は万能ではありません。入ってくるものが安定していることを前提に設計されています。
資材のバラつきを機械だけで解決しようとすると、どこかに無理が生じるんです。

だから、相談のときにボクが必ずお伝えすること。

「使っている資材の品質は安定していますか?」

これを最初に確認します。

どんなに良い機械を入れても、資材が安定していなければ、期待した品質は出ません。
逆に言えば、資材が安定していれば、機械はシンプルな構造でも十分に機能することが多いんです。

機械の設計を考える前に、まず資材の見直しをした方がいいケースも、実際によくあります。

だから、まず、そのあたりのことをお伝えしています。

まとめると、こういうことです。

生産機械での品質は、位置決めと姿勢で9割決まる。

でも、その前提として2つのことが必要です。

ひとつは、生成りで捉えず、強制的に矯正する機構を設計の段階から組み込むこと。

もうひとつは、投入する資材の品質が安定していること。

機械 ⇒ 資材、という順番で考えがちですが、
本当は、資材 ⇒ 機構 ⇒ 機械の順番で整えていく方が、結果的に安定した品質につながります。

「機械を入れたのに品質が安定しない」という相談を受けるとき、
この2つのどちらかが原因になっているケースは意外と多いです。

こと、資材の品質のことは、現在手作業でやっていて、それを機械化したいという場合には特に注意された方がいいです。

手作業の場合、資材の品質が少々まずくても、無意識に修正して使っている場合がありますし、
手作業だから、それができるんですよね。

「臨機応変」に対応できるがため、機械化したときに問題がおきやすいんです。

で、最終的に、『手作業の時は問題なかったのに、なんで?』とか、
『やっぱり、手の方が早いやん。』という事態をまねいてしまうんです。

心当たりがあれば、話してみてください。

品質が安定しない。
機械を入れたのに改善しない。

そんなときは、機械の前に整理すべきことがあるかもしれません。


ここまで読んでくれて、ありがとうございます!

まず、話してみませんか?

現場のことで「なんとなくおかしい」
と感じていることがあれば、まず、話してみませんか?

うまくまとまっていなくても大丈夫です。

※ 無理な営業や契約を前提としたご案内は行っていません。

☆ あわせて、読んでみてください。

工場の生産ラインで、コンベア上のワークがガイドによって一定の向きと位置に整えられ、作業員が真剣な表情で機械を調整している温かみのあるアニメ調の横長イラスト。精密さと安定感のある流れが伝わる構図になっている。

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