自動化したい。でも、どこから手をつければいい?|製造現場の機械化を考える最初の5ステップ

「人が足りないから、そろそろ自動化を考えたい」「毎日同じ作業をしている。ここは機械にできないだろうか?」「担当者が休むと工程が止まってしまう」——製造現場で、こうした話を聞くことがよくあります。


こんにちは。

生産現場での「手間」と「モヤモヤ」を減らす人、けたろーです。

大阪・柏原(かしわら)市で、機械づくりと社長や現場の話を聴くことの両方で、生産現場をちょっとラクな環境にしていくサポートをしてます。 でも、本当につくっていきたいのは、余白(ゆとり)のある現場… だったりします。

さて…

自動化したい。でも、何を自動化すればいいのかわからない

特に地方の現場では、人手不足の悩みがより切実に感じられることが多いです。 若い人たちは、近隣の都市部、もしくは都会へ移動する。 だから、求人を出しても、そもそも応募が来ない。 

都市部のように「募集すれば人が集まる」という前提が成り立たないケースが少なくありません。

背景には、工場で働くという選択肢そのものが、以前とは違う位置づけになってきているという事情もあると思います。 きれいに整備された現場であっても、以前のように「まず工場」という進路が当たり前ではなくなってきているようです。

働くことへの価値観が変わってきている、ということでもあります。

こうなると、人手を増やす方向で解決しようとするより、極力人に頼らなくても回る仕組みをつくるという発想の方が、現実的な選択になってきます。 とはいえ、そこから進めようとすると、「では、どんな機械が必要ですか?」となった途端に話が止まってしまう…。 でも、これは当然です。

自動化を考えているからといって、最初から必要な機械の形まで分かっているわけではありません。 むしろ「何をどう変えれば楽になるのか分からない」という状態から始まる方が、自然です。

よほど、社内に専門の部署がある場合は別にして、いきなりロボットやコンベア、専用機などの設備を選び始めると、話が難しくなってしまいます。 自動化を考える最初の仕事は、機械を決めることではなく、今、現場のどこで困っているのかを見つけること。 まずは、そこからです。

ステップ1:「自動化したい」ではなく「何に困っているか」を書き出す

自動化を考えるとき、「この作業をロボットでできませんか?」「コンベアを入れたら楽になりますか?」というように、つい設備から考えてしまいがちです。 でも、その前に一度、機械のことを忘れて、現場のことを見返してみます。

例えば、

  • 一人が一日中、製品を並べている
  • 箱を持って何度も往復している
  • 製品が詰まるたびに人が直している
  • 品種が変わるたびに調整に時間がかかる
  • ベテランしかできない作業がある
  • 検査工程に人が付きっきりになっている
  • 前工程が終わるまで次の人が待っている

こういった状況を、そのまま書き出してみます。 

この段階では「どう解決するか」まで考えなくて大丈夫です。 大切なのは、現場が何に困っているのかを客観的に見えるようにすることです。

同じ「人手不足」という悩みでも、人が足りないのか、作業そのものが多すぎるのか、移動が多いのか、待ち時間が多いのか、やり直しが多いのか…。 原因によって、必要な対策はまったく変わってきます。

ステップ2:人がやっている作業を、小さく分けてみる

一つの作業工程を細かく分解して見直す技術者のイラスト

例えば「製品を箱詰めする作業」があるとします。

一つの作業に見えますが、よく見ると、製品を取る、向きを確認する、箱を開く、箱の中へ入れる、数を確認する、箱を閉じる、次の工程へ運ぶ——というように、いくつもの動作に分かれています。

このすべてを自動化しようとすると、大掛かりな設備になるかもしれません。

ところが「箱を開いた状態で供給する」だけで作業が楽になる場合もあります。「製品の向きを揃える」ところだけ機械化すれば、人が箱へ入れる作業は楽になるかもしれません。

あるいは「完成した箱を運ぶ」ところだけコンベアに任せれば、人が何度も往復しなくて済むこともあります。

つまり、全部の作業を丸ごと機械に置き換える必要はないんです。 一番困っている部分だけを取り出して考える。 これだけでも、自動化・機械化の選択肢はかなり広がります。

以前、海苔メーカー様の現場で、洗浄後の「絞り」の工程だけを機械(装置)化したことがあります。 工程全体ではなく、人の感覚に頼っていた一部分だけを取り出したことで、無理なく標準化につながった事例です。

洗浄後の絞り作業を機械化。海苔メーカーの”なんとなく”をなくした話

ステップ3:「時間」だけでなく「人の負担」を見る

自動化の対象を探すとき、「この作業には何分かかっているか」を見ることは大切です。 ただ、時間だけで判断すると見落とすことがあります。

例えば、一回の作業時間は短くても、重いものを持ち上げる、中腰になる、同じ動きを何百回も繰り返す、製品が詰まらないか常に見ている、ミスをしないよう集中し続ける——という作業は、人にとって大きな負担になります。

逆に、時間が多少かかっていても、人が無理なく作業できていて、ほかの仕事にも影響していないのであれば、急いで機械化する必要がない場合もあります。

自動化や機械化といえば、「何秒短縮できるか」が注目されがちです。 でも実際の現場では、人が付きっきりにならなくても安心して工程が流れることの方が、価値になることがあります。 

作業者が少し離れて別の仕事ができる。休憩を取りやすくなる。誰かが休んでも、生産を続けられるーー そうした状態も、自動化・機械化によって得られる大切な効果です。

ステップ4:本当に「機械を入れること」が答えなのか考える

ここは、とても大切なところです。

現場の困りごとを整理した結果、必ずしも新しい機械が必要になるとは限りません。

例えば、作業台の高さを変える、部品の置き場所を変える、ガイドを付ける、治具をつくる、製品の供給方法を変える、コンベアを少し延長する、センサーを一つ追加する——こうした改善だけで、作業が大きく変わることがあります。

数百万、数千万円の設備が必要だと思っていたものが、小さな治具で解決するかもしれません。 反対に、簡単な改善を何度繰り返しても人が付きっきりになるのであれば、そこは機械化を考えた方がいいかもしれません。

大事なのは、機械を入れることではなく、困らない状態をつくること。 機械は、そのための一つの手段でしかないんです。

ステップ5 「全部自動化」ではなく、人と機械の分担を考える

人と機械、それぞれの役割分担を考える技術者のイラスト

自動化を考えるとき、「人を完全になくす」というイメージを持たれることがあります。 でも、実際の現場では、全部を自動化=無人化することが最適とは限りません。

例えば、製品を投入するところまでは人。 その後の搬送と位置決めは機械。 最後の目視確認は、また人。 このような組み合わせも、十分に自動化です。

人が得意なのは、状況を見て判断する、微妙な違いに気づく、品種変更に柔軟に対応するといった仕事です。 一方で機械は、同じ動きを繰り返す、一定の速度で運ぶ、決めた位置で止める、単純な作業を長時間続けることを得意としています。

どちらか一方にすべて任せるのではなく、人がやらなくてもいい仕事を、機械に任せる。 そんな風に考えると、自動化はもっと現実的になります。

自動化するときに、最初から決めなくてもいいこと

設備メーカーへ相談するとき、「仕様をまとめてから相談しなければ」と思われる方もいるかもしれません。 本音のことを言えば、やりたい仕様がまとめられていると、すごく楽です。 でも、本来はそこまで決まっていなくても構いません。

例えば、「一人がずっとここに付いている」「この作業だけ何とかしたい」「製品が詰まるたびにラインが止まる」「ベテランが辞めたら、この工程が回らない」。 このくらいからでも、話は始められます。

むしろ、設備の仕様を最初から決めすぎてしまうと、それが先入観になってしまって、本当はもっと簡単な方法があるのに、その選択肢を狭めてしまうこともあるります。

自動化を考えるときに必要なのは、現場で何が起きているのか? まず、それをオープンにして、お互いに把握していくこと。 そこがポイントです。 

自動化を考える5つのステップをまとめると

ここまでを整理すると、自動化の入口は次の5つです。

  1. 現場で何に困っているのかを書き出す
  2. 人がしている作業を小さく分ける
  3. 時間だけでなく、人の負担を見る
  4. 本当に機械が必要なのか考える
  5. 人と機械の役割を分ける

この順番で考えると、「どんな機械を買えばいいか分からない」という状態から、「ここを変えれば、現場が楽になりそうだ」というところまで見えてきます。

そのあとで初めて、治具で済むのか、既存設備を改造するのか、半自動にするのか、専用機をつくるのか? そういう方法を考えていけばいい。

自動化の目的は、人を減らすことではありません

自動化で目指したいことは、ただ作業人数を減らすことではありません。

誰か一人が休んでも工程が止まらない。 同じ作業に一日中張り付かなくてもいい。 重いものを何度も持たなくていい。 生産量が増えても、残業を増やさなくていい。 トラブルを心配しながら機械の横に立ち続けなくてもいい…。

そんな、人が少しゆとりを持って働ける現場をつくることだと、ボクらは考えています。

そのために必要なのが機械であれば、機械を考える。 治具でよければ、治具を考える。 作業方法を変えるだけでよければ、それも一つの答えです。

最初から答えを決める必要はありません。

「自動化したいけれど、何をどうしたらいいか分からない」「機械をつくるほどの話なのかも、まだ分からない」。

そんな段階でも構いません。現場を見ながら、何に困っているのか、どこに人の負担が集中しているのか、どこまで機械に任せると楽になるのか。一緒に整理するところから始められます。

「この作業、もう少し何とかならないかな」。そんなところから、まず話してみませんか?


ここまで読んでくれて、ありがとうございます!

まず、話してみませんか?

現場のことで「なんとなくおかしい」
と感じていることがあれば、まず、話してみませんか?

うまくまとまっていなくても大丈夫です。

※ 無理な営業や契約を前提としたご案内は行っていません。

☆ あわせて、読んでみてください。

自動化の前に現場の困りごとを整理して考える技術者のイラスト

この記事が気に入ったら
フォローしてね!