樹脂(プラスチック)などの柔らかい素材に、ドリルで穴をあける機会はそう多くないかもしれません。 が、いざやってみると、金属の穴あけとは勝手が全然違うことに気づくと思います。
※この記事は、以前公開していた内容をもとに、加筆・再編集したものです。
こんにちは。
生産現場での「手間」と「モヤモヤ」を減らす人、けたろーです。
大阪・柏原(かしわら)市で、機械づくりと社長や現場の話を聴くことの両方で、生産現場をちょっとラクな環境にしていくサポートをしてます。 でも、本当につくっていきたいのは、余白(ゆとり)のある現場… だったりします。
さて…
樹脂への穴あけ、金属と同じドリルを使っていませんか?
樹脂に穴をあける時、一般的な鋼材(鉄)用のドリルをそのまま使うと、実はかなり危険なんです。 刃物が素材に食い込んで、素材ごと刃物に持っていかれてしまうことがあります。
これは経験者として、間違いなく言えることです。
ボール盤に樹脂板が巻き込まれた、あの瞬間…。
この仕事に就いて間もない頃のこと。 カバー用の樹脂板に穴をあける作業があって、何も考えずにボール盤に普通のドリルをセットして、穴をあけようとしたんです。 樹脂板は、バイスに固定できない大きさだったので、手で押さえながら作業してたのですが…。
その瞬間、樹脂板がドリルに吸い付かれるように巻き込まれてしまいました。

ボール盤の回転トルクはかなり大きく、手で抑えらきれるものではなく、樹脂板はドリルに引っかかったまま、ぐるんぐるんと回り続けました。
当然、穴も変形。 樹脂板だけの被害で済んだからよかったものの、一歩間違えば大きな怪我につながっていた可能性もありました。
では、どうすれば安全に、かつ綺麗に穴あけができるのか?
樹脂専用のドリルを用意するというのも一つの方法ですよね。 でも、専用工具を新たに買わなくても、簡単に対処できる方法があります。 それは、ドリルの研ぎ方を変える、という方法です。
刃を「殺す」ことで、安全に、綺麗に
具体的に言うと、ドリルの刃を殺す、つまり切れ味をわざと落とすように研ぐという方法です。
少し見にくいかもだけど、画像の青〇が鉄向けの研ぎ方で、赤〇の矢印の部分が刃の裏の部分を殺して研いだものです。 これだけで、樹脂への穴あけが驚くほど安全で綺麗になります。

切れ味鋭くスパッと切っていくというより、削りながらあけていく感じです。 イメージとしては、かき氷を削るような形に近いかも。 穴あけシーンの動画がこちら。
素材の性質に合わせて道具の使い方を変えるという考え方は、樹脂に限った話ではないです。 ちなみにこの研ぎ方、真鍮のような柔らかい金属に穴をあける場合にも応用できます。
こうした現場の工夫は、たぶん、テキストなどに載っていないことが多く、経験を通して身についていくものだと思います。 ボク自身、この失敗を経験して初めて、素材に合わせた研ぎ方を学びました。
余談ですが…。
ドリルの刃を研ぐのには、グラインダーを使います(下の画像のような装置)。
聞いた話しですが、グラインダーを知らない世代も増えてきたそうです。 金属加工専門でされているところでは、グラインダーなどは使わず、ドリル専用の研ぎ機を使うところも多いとか。 確かに、専用の研ぎ機を使えば、研ぎ方も一定になって便利ですよね。
ドリルを研ぐのは意外と難しいのです。 この職に就いて間なしの頃は、専用の研ぎ機が欲しかったんですけどね…。 でも、ボクらのような機械づくりの仕事では、臨機応変に対応できるようになることが重要なので、買うのを諦めました。

樹脂に限らず、素材ごとの加工で「これで合っているのか」と迷うことがあれば、お気軽にご相談ください。ちなみに、樹脂の加工では「バリ取り」でも同じように、金属とは違うコツが必要になります。あわせてこちらもどうぞ。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます!
まず、話してみませんか?
現場のことで「なんとなくおかしい」
と感じていることがあれば、まず、話してみませんか?
うまくまとまっていなくても大丈夫です。
※ 無理な営業や契約を前提としたご案内は行っていません。
☆ あわせて、読んでみてください。
