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見積書に〝アレ〟を書くキッカケになった苦い体験。

けたろーです。 皮がめくれてきて、たいへんなことになりつつ。。 

焼いた(焼きすぎた)タイミングがまずったかも。 もうすぐ、出張なのに…  ちょっと、計算して焼けばよかったかな。 いや、サンプロテクトにしておくんだった。w

さて。

皆さんは、見積もりを書かれる立場ですか? それとも、見積もりを依頼する立場? ボクは、仕事柄、相手に見積もりを依頼する時もありますが、書くのが多いかな。 で、見積もりすることに関して、こんなエピソードがあったんです。 ちょっとした苦い経験。 それ以降、見積もりへの捉え方が変りました。

見積書に加えた一文。

ここ数年前から、見積書を書くときには、以下のような文言を入れるようにしています。

構想図、及び詳細図等の図面の提出は、契約成立以降とさせて頂きます。 それ以前の提出につきましては、見積もり金額の20%にて対応させて頂きます。(契約成立後、精算させて頂きますので、実質無料です。)

『見積金額の20%』の部分は、時に、『記載の設計費が発生します』と記載する場合もあります。

画像はイメージ。

要は、正式にオーダーを頂く(本契約)までに図面や構想図(アイデア図面)の提出を要求される場合には、費用が掛かります… というお願い事項です。 で、

この一文をいれた見積もりを客先にお渡しした直後、ある客先の担当者から即効で電話がかかってきて、

電話口の担当者

お前のところは、図面を描くのに金をとるんか?

とかなりの剣幕で言ってきたのです。

この人は、ボクらの技術を見てくれてたわけじゃなかったんだ・・・。

これを聴いて、ボクはものすごくショックを受けたのと同時に、なんだか、ものすごく哀しく、残念な感情が湧きあがってきたんです。 

ではなぜ、こんな一文をいれるようになったのか? これには、あるキッカケがあります。

そもそも、アイデアや構想への対価って?

完成した装置や器材の輸送費に関することや据付時の費用面については、明記するようにはしているのですが、〝見積り時に、構想図などを有償対応にする…〟 ということに関しては今まで意識していませんでした。 

ちなみに、運送費や調整費についての記載は、記載していなかったことで、受注時に『込みで』と先に刺されたことに起因しています。 紳士的な方なら、『輸送費や調整費のお支払は大丈夫ですか?』などと聞いてくれるんでしょうけど、その時は、まるで上げ足を取るかの如く、先手でやられてしまったんです。 (A;´・ω・)アセアセ  この時の反省で忘れずに記載するようにしました。

で、構想図などに関して、それまでは見積り依頼があるたびに、具体的な構想がわかるような図面を描いて客先に提出していました。 なんでか? って言うと、そうすることがこの業界の通例で〝普通〟だと思っていたからです。

今でこそ社内(ボク)で図面を描いていますが、外注していた頃は見積もり用の構想図のレベルでさえ、依頼して描いてもらってました。 当然、お仕事を依頼するのだから、そこには費用が発生し、彼らにお支払します。 

でも、見積もりを依頼された客先にその分を請求するか? と言えばそうではなく、むしろ〝サービス〟的な色合いが強めの必要経費でした。 その案件が決まれば 〝やったぁ!構想図代の元がとれた!〟 流れれば 〝残念だったな。。。〟 とそんな感じ。 突き詰めてそれほど深く考えたこともなかったんです。

自分で描くようになって以降もそれまでと同じように… というよりむしろ、その案件がいつ決まってもすぐに取り掛かれるくらい、前よりも詳しい感じの構想図を付けて提出していました。 時にはその構想への検証を行うための簡易モデルをつくり、見積もり段階でお客さんに見て頂いたりしていました。 

構想を見てもらう方が客先に対して安心感があるのかなという想いとともに、〝見積りを出す=構想図をつけなきゃ〟的な自動思考です。 

この一文を記載するようになったきっかけはリーマンショックが起こった後くらいです。

その当時、懇意にしていた得意先との出来事です。 その得意先には数名の営業マンがおられ、案件があるたびにそれぞれがうちに相談に来られていました。 

〝仮に1人の案件がダメでも誰かが決まれば、大丈夫、御の字だ。〟

事実、それまではほぼ毎月のように誰かしらの案件が決まっていて、その対応をしていたのでそんな考えがベースにあったんです。 でも、その状況が順調だったのはリーマンショックが起きたちょっと後くらいまで。 

案件を頂いて、一生懸命構想を考え、構想図面を描き、見積書とともに提出したとしても、その案件が決まる様子がなく、〝無しのつぶて〟が続いたのです。 案件が頓挫するだけなら、まだ気分的にましだったのですが… 

折角考えた構想が、別の同業者へ流出していることがわかったのです! それが2度ほど起きていました。 

すごくショックでしたよ。 アイデアを考えて、構想図描いて・・・ それが別のところで使われているんですから。

むろん、うちには何の連絡もなし。 別のところから漏れ聞こえてきてわかったという感じです。

アイデアを出すにも、もちろん、構想図面を描くにもコストがかかっているのに。

ということがあって、一文を加えるようにしたというわけです。

吐き捨てられた言葉は、忘れないぞ。

そして、文言を書いた直後に吐き捨てるように言われたのが、前述した

電話口の担当者

お前のところは、図面を描くのに金をとるんか?

でした… その電話の内容は、他にも

電話口の担当者

安いからあんたんところを使ったってきたんやろ!

みたいなことを言われたのが忘れられません。

そんな風に見られてたんだ。。
この人は、ボクらの技術を見てくれてたわけじゃなかったんだ・・・。

ボクらの中にも、『驕り』のような感覚があったのは否めないのですが、それでも、そんな風に言われたのがすごく心外だったんです。

ボクにとってはその言葉が強烈な一撃でした。 加えて、これがこの会社のやり方なんだとも思いました。 Win-Winな関係だと思っていただけに、なんだか裏切られた感がしてものすごく悲しくショックでした。

アイデア・構想にもコストがかかってるとわかってほしい。

哀しいかな、見積もりを依頼される側は、見積り金額とともに〝構想図面というアイデア〟が

もれなく無償でついてくる。

と思われているところがあるようですよね。 特に、大手とか旧態依然な体質なところに多いような気がしてます。 あと、アイデアなどの〝知的業務〟に対する評価が低いところも。

彼らには 『アイデアを得る=考えてもらう=依頼先に労力発生=お金がかかる』 という発想が欠落しているようです。 全部、サービス=無償で行われるものだという大きな勘違い。

アイデアって、簡単に降って湧いてくるようなイメージを持たれるかもしれません。 でも、そもそも、そう簡単には出てきません。 風呂に入ってる時も、トイレに入ってる時も、飯を食ってる時も…  四六時中、依頼された案件と向き合って、その結果として『この方法でいけるかも!』 とヒョロッと出てくるのです。 

また、過去からの経験から出てくるというのも大いにあります。 過去からの経験には、それなりの投資が発生しています。 セミナーにいったり、展示会や勉強会に出向いたり。 突き詰めると、もろもろの〝投資〟をし、その蓄積があるからこそ、アイデアが生まれるということもあるのです。

そんな話をすると、

あんたらはそれが仕事なんだしプロなんだから、当たり前だろ!

なんて言ってくる方も若干おられるのも事実です。苦笑  でもそう言うなら、プロに対しての依頼にはそれなりの対価は発生するというものじゃないでしょうか? 

業界で違う?

別の業界の方にこの時のエピソードをお話したら、へ~ って言われました。 

その方は、建築業界の方。 確かに、建築の業界でも似たような事柄は発生しているようで、でも、防衛策をとっていると話してくれました。 

曰く、図面等を含めて、一通りの構想をきちんと纏めて打ち合わせにのぞみ、打ち合わせが終わった段階で、うむを言わさず、その資料を全て回収する・・ のだとか。 

クライエント側は、当然、その資料を全てもらえるものだ。。と勘違いするらしいのでだけど、打ち合わせが終わるタイミングで、資料がいるなら契約に進みましょう! とするらしいです。 

建築系では、こういうのを徹底してやってるみたいなことを聴きました。 ある程度の構想までは無償。 けど、ある一線を越えると本契約になって有償になるとか。 

どの業界でも、アイデアを守るための策はあるみたいですね。 

アイデアとは、種。 それをないがしろにされると、ちょっとね。

〝実現可能な構想〟であるために。

いくらアイデアや構想を出したとしても、それが、絵に描いた餅… すなわち、実現不可能な考えなら、意味がありませんよね? それに対して見積もりをしたところで、実現できないのであれば、一種の詐欺になってしまいます。

では、依頼に対しての見積を算定するためにどんなことをしてるか? というと、これはボクの場合なのですけど、まず、

どうすれば実現できそうか? 

のイメージを頭の中で膨らませます。

次に、そのイメージで必要な機器・器材などをリストアップし、その性能やどれくらいの価格なのかを調べます。 案件によっては、簡単な機構モデル(模型)を創ってみて、その構想でできるできないの検証を行います。

なぜ、検証までするか? と言えば、それが実現可能かどうかのレベルで話をしないと全部ウソになってしまうからです。

できもしない方法で〝できる!〟と言えば詐欺になってしまいますからね。笑 また、必要であれば、その模型をお見せしたりもしています。 確証がとれたところで、金額を算定し、見積り書を作成します。

と、大まかに言えばそういう流れです。

で、よく『概算でいいんで!』と言われることもあります。 正直、標準化された製品を扱っているなら見積もりは容易だと思います。 しかし、うちのような業態の場合、見積もりはかなり難しく、正確に見積もりを出そうとすればするほど、かなりの労力を伴う仕事になり得るです。 

適当に見積金額を出してしまうと、大赤字になってしまったり… 実際、何度かやってしまったことがあります。(^_^;)

その昔、親父が若い頃は、ほぼ全ての業界で見積もりは有償のところが多かったと聞いてます。 それがいつの間にか、〝見積もりは無償〟という流れになってしまったようです。

その当時を思うと見積りを依頼する側にも、ある意味覚悟が必要だったのだと思います。 見積もり作業が有償であればなおのことですよね。 無駄にお金を使いたくないですもんね。 だからこそ、いろいろとリサーチして自分が信頼している人から聴いたり、自分の目で確かめて、自分が信頼できる業者を吟味してお願いしていたのだと思います。

無償にする場合の弊害は、無償だからと、本心ではやるつもりもないのに依頼する帰来があるということです。 それに、見積もりをとることで、相手側の意見や技術を盗み見るというのもありますよね。 

実は、一文に込めた狙いは、お金をとることが目的ではなく互いの本気度を知ることでもあります。

あなたに託したい! だからあなたにお願いします! というお客様側の本気の心が知りたいのです。 ただ、それだけです。 それに、有償とは言え、〝決まればその分を精算する〟と記載しておりますので、実質無償なのですけどね。笑

この一文を追加して以降、この考えに賛同して頂けないお客様は自然に去られるようです。 まぁ、ベーシックに、考えや価値観が合わないということなので、結果として良い傾向なのかもしれません。


いずれにしても、せっかくのご縁を大切にしたいなと思う今日この頃。 その案件を通じて、なるべくならWin-WINな関係になることを望んでいます。

というわけで、よろしくお願いいたしますっ!


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