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〝機械〟から見た働きやすい環境…

けたろーです。

仕事柄のことなのですが、今まで、多くの機械をリリースしてきました。 得意なブリスター包装機械のみならず、その種類は多岐にわたります。 で、正直なところ、製作し、リリースした全ての機械が、全ての現場で歓迎され、設計した本来の性能を十二分に発揮できるように至っているか? と言われると残念ながらNOです。

無論、こちらの尽力不足というのもあります。 そこは否定しません。 でも、それ以外にも要因があると思うのです。

今日の話題はそれでいきます!

〝機械〟から見た働きやすい環境とは?

うまくいかなかったことに関して、共通して言えると思えることが2つほどあります。 

まず、機械を導入しても歓迎されない理由について。

機械が歓迎されていない…

工場へ機械を導入することについて、単純に、〝製作会社にオーダーして設置してもらうだけ。〟と思われるかもしれません。 実際、機械を導入されたことがない会社さんでは、家電のような感覚で捉えられているところもあるようです。

例えば、ホームセンターに行って掃除機を買ってくるような感覚でしょうか… 掃除機もいちお機械ですので、それこそ、買って来たら終わりですよね。 でも、生産工場で使う場合で、それが特殊・特注である場合には、当然社内でのすり合わせが必須になってきます。 これが意外と落とし穴になっている感を受けるのです。 

例えば、社長の一存で決めてしまうとか、導入を任された担当者だけで進めてしまうとかといった場合です。 要は、お客様社内での意思の疎通がないのです。 

このことに関して、お仕事を引き受ける際には、こちらとしてもある程度は確認するのですが、前提としてお客様社内で全て話しが通っているもの、あるいは、機械を設置するまでに現場に対してインフォームされることとして引き受けます。 それに社内での意思疎通に関しては、お客様マター(社内の問題)であると思うので、そこへの言及は控えています。

概ね、歓迎されない場合には、機械の設置を知らされていないとか、直前に担当に任命されたとか、その現場の担当者から見れば、まさに〝寝耳に水〟の状態になっていることが多いです。  

担当者からすれば、事前に何も聞かされていないので、当然、やる気も失せます。 それに、そこにはその担当者の意見やアイデアなどが含まれず、いわゆる〝蚊帳の外〟状態。 そんな状況なら、モチベーションも失せてしまっても仕方がないです。

実際、こんな体験をしたことがあります。 

機械を納入しに現場へいくと、

今日、機械が入るなんて聞いてません!
それに、これは何をする機械ですか? 
それも聞いてないです!

という具合で突き返されそうになったことがありました。 その作業でのメインの担当に当たる方だったのですが、機械の製作に関しても、もちろん仕様も全く聞かされてなかったようです。

その日はとりあえず置いて帰るだけ。 しかし、後日、その実作業の担当の意見と、機械製作を指示し、仕様を提示してきた担当の意見では全く異なっていることが判明しました。 つまり、実作業を行う現場からすれば使用に耐えがたいという… (… 商社が絡んでいたので、やむなく降りましたけど。)

色んな会社組織の風景が垣間見れます。 上記のような会社さんでは、恐らく、『チーム』としての統率力が薄いのだと思われます。

機械を導入すると決めた時点で、関係する部署にそれを通達し、適任なスタッフをアサインするのが大切なのです。 

関係部署を巻き込む。

意思疎通に加えて、もう一つ大事なことがあります。 それは、関係部署(関係者)を巻き込むということです。 スタッフが誰もいなくて全て一人でやっているのなら、その人個人の意思で全てコントロールできるので問題はありません。 でも、前述した彼は違いました。 他部署の人が仕様など全ての事柄を決め、作業担当者である彼には何も聞かされていない様子でした。 

そもそも、そんな状況が生じてしまうことこそが、機械を〝働きにくい〟環境に追いやってしまっているのです。

機械の導入を決めるのであれば、まず、関係者を集め、プロジェクトチームのようなグループを作り、様々な切り口で、その機械をどのように運用していくか? を決めていくことが大事です。 

チームメンバーとしては、直接部門、間接部門の両方が入ることが望ましいです。 また、実作業にあたるスタッフにも参加してもらって、作業性の面をアイデアや意見を出し合うようにします。 機械の仕様段階から参加してもらう事で、彼らの疎外感もなくなり、機械に対する愛着もうまれるのです。 機械を入れて良かった!と思える、〝機械として働きやすい環境〟を構築することができます。

でも、これはほんのとっかかりの第一関門です。 

機械に合わせるという発想。

スタッフ間の意思の疏通を図れた後は、機械の仕様を決め、製作やそのリリースに向けた準備に入ります。 機械の製作自体はメーカーに任せるとして、生産現場ではもう一つの関門ともいうべき事柄があります。 それは、機械の立場に立ってみて

機械に合わせる。

ということです。 今まで人手で簡単にやってきたから、これも〝簡単に〟機械がやってくれる… と思いがちなのですが、機械は人が思っているほど、融通が聞くものではないのです。 

機械には人ほどの臨機応変さがありません。 

これくらい大丈夫やろ。。

という些細かもしれない感情が、機械にとっては大きな問題を引き起こす場合があるので注意が必要なのです。 例えば…

例えば、包装工程で考えてみます。

機械に合わせる… 少し、イメージがつきにくいかもしれないので、包装工程を例に考えてみます。 あ、ちなみにこれは実際に体験したことなので、リアルな話です。

人手で包装作業をしてきたという場合、仮に包装資材や製品に多少の難があったとしても、その難物をスタッフが作業中に〝無意識に〟排除したり、また、それによって作業が滞らないよう、スタッフの知恵や工夫で作業を行なっているというのが一般的です。 

でも、機械に置き換えた場合それが困難なのです。 なぜなら、機械が得意としていることは

決められた範囲の中で、決まった動作を行うこと。

だからです。 一連の決まった動作を繰り返し行うことで、生産における安定したパフォーマンスを確保します。 でも、もしも、作業の中で〝多少の難〟が発生したなら、機械にとってはすごく致命的です。 これは、〝正常に動けない状況〟に陥ってしまうことを意味しています。

例えば、包装資材の寸法が定まっていなかったとします。 人手で作業をする場合、多少誤魔化してでも作業ができるはずです。 しかし、機械で自動供給を行うような場合では、寸法が定まっていないと処理ができなくなってしまうのです。 機械上で資材の積載ができなくなったり、資材のピックアップができなくなったり、また、包装処理そのものができなくなってしまうのです。

そうなると、機械はスムーズに動作しません。 また、そうなると、作業者からしてみても機械がうまく動かないことがストレスになってしまいます。 

だからこそ、機械に対する環境を整える必要があるのです。

今まで人手の作業では大丈夫だった〝ちょっとくらい〟という、その〝ちょっと〟が、機械では致命的な要因となり、正常なパフォーマンスが出せない状況を産みます。 逆に言えば、資材を受け容れる側の品質管理の性質・性格が問われているということも言えます。 

大切なポイントは、

機械の視点で作業環境を整える。

ということです。

機械ファースト。

機械を導入し、運用していく上では、常に、

どうすれば機械として安全に且つ、順調に安定した動作ができるだろうか? 
そのためにできることはなんだろうか?

ということを問いかけ、作業環境をより良く整えていくことが肝要です。 また、このことが、機械動作のみならず、製品そのもの、強いては、現場環境そのものにも好循環を与えるのです。

場合によっては、仕入れ先にも改善をお願いする状況が生まれるかもしれませんが、必要なことは、今までの手作業での作業全て見直し、〝多少の難〟があるのなら、その難がでないように品質を整え、バラつきを最小限に抑え、機械にとっての最善を考えていくことです。 


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